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大学病院へ。手術。<病日4日目>(2005/6/1)


2005/6/1
 
 下調べと、航太朗の状態がどうなっているかが気になり、睡眠もそこそこで朝7時半に入院先の病院へ到着する。医師が到着。診察後、説明を受ける。「強い点滴を行ったが、改善はしていない。大学へ行って専門の先生に診察して貰いましょう。尻尾はまだ辛うじて動いています。」
 
 8:00 説明時間、約10分弱。大学までの道筋を教えていただき、高速で大学へ向かうが、ああもう!こんな時に警察が前に!!焦る気持ちを母になだめられつつ運転する。高速を降りてから、初めての道でしかも方向音痴の私は道が分からなくなる。でも、早く出発したから時間は十分にある。花壇を整えているおば様に道を確認。ああ~、おば様も説明が不得意だ!でも、なんとなく理解できて、御礼を言い再び運転。
 天気が良く、航太朗が入っているハウスに日が当たる。日よけをかざして日を遮る。母が「暑くて水を飲みたいだろう。」と言うが、場合によっては手術となる為、絶飲食とする。手術前の絶飲食は人間と一緒である。

 10:00 大学到着。予約時間は11時。受付を済ませて待っていると、すぐに呼ばれる。時間よりも早く到着したのに診察をしてくれること、また医師が診察できる時間に到着できたこと、「ついてる!!航太朗はきっと大丈夫だ!」そう思えた。深部痛覚、血液、レントゲン検査を行う。医師はとても感じが良く、こちらの質問にもなんでも答えてくれた。丁寧に。「この先生には、安心して任せてもいいかもしれない・・。」初対面の医師だが、雰囲気が柔らかく何でも聞けるように接してくれる。

 11:20 血液検査異常なし。痛覚(+)。「レベル4。ここでの手術成功率は8割ほどです。手術しましょう。その為にCTを撮ってヘルニアの状態を詳しく知る必要があります。」思っていたより成功率が高いことに驚き、喜ぶ。しかし、CTには麻酔をかける為、ここで手術同意書を書くことになるが、内容を読んで愕然とする。「いかなる死傷に対し責任を負わない」とある。適切な処置をした上での話ならば理解出来るが、文章にはそんな言葉はない。「・・・人間の同意書と違って、ずいぶんひどい内容ですね。」考える前に口から言葉が出た。「これにサインしなければ手術受けられないんですよね?」当たり前だが聞いてしまう。サインしなければ手術は受けられない。仕方なく、サインする。

 サインしてから、涙が止まらなかった。あんな内容にサインしてよかったものか。手術中、もし何かがあったら、あんなサインをしてしまったゆえに後悔するのではないか。航太朗が手術中に死んでしまったら、どうしよう!ぐるぐる頭の中を色んな気持ちが回っている。
 外に出ると、ヘルニアの手術後のもう歩行できているダックスが居た。泣きながら飼い主さんに発症してからどのくらいで手術を受けたのか聞いてみる。発症した次の日だということ。・・・航太朗は発症して丸3日になる。もっと早く手術を受けさせる事が出来たはず!!もっと早く治療を開始させてあげられたはず!!普段の生活をもっと気を付けてあげたらよかった!! 
 しばらく泣いて、Hiroの声が聞きたくなり、電話。その中で、「自分だったらきっと麻痺がなくなって歩ける確率があるならば、手術のリスクはあるけども、手術を受けるだろう。航太朗もきっと・・・。」手術の覚悟を決める。手術が出来る時期であり、このままなにもせずに麻痺になってしまうよりは、手術を受けて今やれることはやってあげたい。その結果は自分できちんと受け止めよう。話を聞いて貰いながら、決心する。お仕事中に電話してくれたHiroに感謝。そして待合室でCTが終わるのを待つ。

 12:40 CT結果では、ヘルニアの内容物は多くないように見えるが、やってみなければはっきりしないこと、半側椎弓切除をしてそこから内容物を取り、神経にかかっている圧を減圧をすると画像を詳しく教えてくれながら説明してくれる。内容物が硬ければ神経のダメージも大きいという。手術の準備はすでに始められていた。「よろしくお願いします!」    ・・・この時、他の医師に抱かれた航太朗が通路に見えた。CTの麻酔はさめており、不安な顔をしている。私には気づかない。。「頑張って!!」無事を祈るだけだった・・。

 14:45 手術終了。医師から説明を受ける。「無事に終わりました。内容物は柔らかかったのですが、量が多く、骨を削っている間からニュルニュル出てきた。神経は、結構圧迫されていたかもしれない。」何よりも無事で良かった!!航太朗!!先生、命を守ってくれてありがとう!!
 現在麻酔を覚ましている最中であり、面会するならばまだかかるがどうするかと尋ねられるが、もちろん顔だけは見て行きたい事を告げ、覚醒を待つことにする。

 待合室にいた女性から声を掛けられる。「ひょっとして、ヘルニアですか?」と。旭川市からいらした、同じくダックスを飼っている方だった。うちの航太朗よりも2日前に発症し、内科的治療で改善が無く、手術を勧められ紹介されて来たそうだ。今日だけでヘルニアの手術は4件入っていると医師が言っていた。自分だけではなく、同じ気持ちを抱えている人がまだ沢山いるんだ。PCでも多くの人たちが同じ気持ちを抱え、色々な事を頑張って乗り越えてきている。自分たちだけが不幸だと思ってはいけない。

 15:25 面会。まだ半覚醒で、目線はあわないのは勿論、舌は出ているし、低体温になって暖められていた。でも、この状態ならば命は大丈夫。安心した。点滴も人間と同じポンプを使うんだなぁ、と少し落ち着いて航太朗の居る環境を見ることが出来た。
 明日は9時半から医師の説明があり、航太朗の状態が非常に安定している場合は紹介してくれたうちの近くの病院に転院することも可能かもしれない、とのこと。

 今日は近くの宿に泊まることにする。上司にその旨を伝える。いつもいつもわがままな私に対して、優しくして下さる。感謝。
 
 入院中の航太朗が覚醒したらおっかながっているだろうと、寝つきは良くなかったが、ろくに眠っていなかったことや、手術を受けることが出来て命も無事であったこと、あとの結果はどうなろうとも受け止めようと決心したこと、親切で信頼のおける医師に出会えた事で安心したこと、これらの事が重なり久しぶりに気持ちが落ち着き、いつもより眠れた。 母のイビキも聞こえないくらい。